「遊佐 裕翔…」


莉茉をベッドに寝かせた瞬間、莉茉の携帯が鳴った。

ディスプレイには“遊佐くん”と出ている。



「──もしもし。」


興味か、なんなのか。
よく分からなかったけど手は勝手に電話に出ていた。



『…すみません、どちら様ですか?』

あぁ、そうか。
社内の奴には付き合っていることを公表していないから莉茉も玲華以外の奴には話してないのか。


「水瀬。」

苗字だけ伝えると、一瞬だけ向こうが騒がしくなった。

わかりやすーく動揺してる。



『み、水瀬さんがなんで…?!』

この時間、莉茉の電話に出るってことはどういう関係かわからないものか。


「…莉茉の隣にいるから。」


我ながら低レベルな煽りだった。