「莉茉……っすみません葛西さん、今日のところはこれで失礼します。」
すごく慌ててる絢くんに、顔向けができない。
絶対話しかけちゃだめ、そんな約束を通り越して先輩と絢くんの会話の邪魔をしちゃうなんて。
「………」
家に着いて、手を離されて。
寂しさと、もやもやが一気に押し寄せてくる。
「…なんであんなことしたわけ?」
絢くんが怒ってる時の声。
その声は、少し怖い。
「…ごめんなさい。」
でもあれだけは耐えられなかった。…けどそんなこと、絢くんには通用しないよね。
「はぁ…。」
ため息にビクつく。
ほんとに怒ってる。
約束を破った私が悪い。
…けど絢くんは、逆の立場だったらどうなんだろう。

