“俺は篠宮 莉茉が好き。…例え彼氏がいても、まだ諦めらんないから。”
確かにあの時遊佐くんにも言われた。
そして今、水瀬さんが彼氏ということだけはわかってる。
…水瀬さんと過ごした記憶はないけど。
「…なんで水瀬さんだけなんだろうな。」
ぼそっと遊佐くんが呟いた。
それは、なんで水瀬さんだけを忘れてるんだろう、ということかな。
「忘れたかった、とか?」
私がそう言うと遊佐くんは両方の手で私の肩を掴み、悲痛に顔を歪めていた。
「…俺さ、正直水瀬さんの事嫌いだった。」
あの誰でも分け隔てなく話す、優しい遊佐くんが嫌いな人…。
そんな人が私の彼氏だったなんて、ますます信じられない。
「でも…」

