…なんだろう、笑い声かな?




「も〜、絢くん!」

「…××がぼーっとしてるのが悪い。」

「だってぇ…」



誰だろう、“絢くん”と呼ばれてる男の人と、その隣で笑う女の子。

絢くん、という人はその女の子の名前を呼んでいるのにそれは私にだけ聞こえない。





「好きだよ、××。」

そう呟く度、名前の分からない女の子は悲しそうな顔をする。

その顔は見ているこっちまで胸が締め付けられるような、そんな顔で。



『どうして気づいてないの…?』


私の声は、2人には届かない。

あの人が、あの女の子の悲しそうな顔に気づいてあげられれば。



きっとあの子は……



















『 死 な ず に 済 ん だ ──。』