「ありがとうございます。では失礼します。」


深々と頭を下げ、社長室から出てくるその人は水瀬 絢都。

24歳という、若いのにデキる男とこの会社で通ってる。



「絢くん、おはよ…!」

小声で、でも聞こえるくらいの声で挨拶をしても相変わらず目線だけで返事はない。


まぁ会社では話しかけないでって言われてるし…仕方ない事だけど。







「……で、寂しい、と。」

アイスコーヒーの氷をカランコロンとストローで掻き回し、玲華がため息をつく。



「だってぇ…」

朝もすれ違いで、ろくに挨拶も出来ないし。

少しくらいなら話しかけてもいいかなって思っちゃっただけなのに…。