その時、俺のスマホに誰かから電話がかかってきた。非常識とも言える時間に電話をかけてくるのは俺の知り合いの中でたった一人しかいない。

「アイツ、こんな時間にも平気で連絡してくるところは変わんねえな」

久しぶりにアイツから電話があった。過去の思い出も蘇り、懐かしくて笑いながら電話に出る。

「もしもし？お前、相変わらずこんな時間に連絡してくるな」

「もしもし。ごめん！でもどうしても電話したくてさ〜」

アイツの声はどこか嬉しそうだ。そりゃあそうだろう。もうすぐ結婚するんだから。

「あたし、もうすぐ結婚するんだ」

「知ってる。ネットの記事で観たよ」

まるで俺が結婚のことをアイツに報告した時みたいだ。アイツからの用件は、結婚式に参加してほしいということだった。俺はもちろん「参加する」と答える。

「あ、でも愛梨は妊娠六ヶ月で何があるかわからないから欠席させてほしいってさ。また後日お祝いさせてほしいって」

「わかった。元気な赤ちゃん、産んでくださいって伝えておいて」