「よ〜っし歌うぞ〜!カラオケとか久しぶりなんだけどっ」
「あたしも何だかんだ高校入ってから初かも」
「まりな何歌うの?」
「えぇえ迷う〜」
悩んだ末、まりなちゃんの、何かカラオケ行きたくなってきたかも、の一言で行き先が決定した。
友達とカラオケなんて、初めてだ……!
そもそもカラオケなんて、いつぶりだろう……
私は微かな記憶を辿った。
最後に来たのは……確か、母と一緒だった気がするけど………
歌うのが得意ではない私は、ずっと座って母が歌うのを聞いていた気がする。
曲を入れたまりなちゃんが、マイクを取った。やがてイントロが流れる。
「あーこの曲知ってるー、最近よく聞くよね」
「そーそー!歌ったことないけどイケるかな〜」
ないの!?と笑いながら、玲可ちゃんがデンモクを手に取り曲を探し始めた。
……可愛い子って、歌も上手なんだなぁ……
最近流行りの曲を歌うまりなちゃんをぼんやりと見ていると、
「はいっ、柚の番っ!」
「えっ…?」
「みんなで順番に1曲ずつ入れてるから、柚も入れちゃって」
そう言って玲可ちゃんが私にデンモクを渡した。
………ど、どうしよう……私の歌なんて、とても聞かせられない…………
「……あ、わ、私、歌下手だから……、3人が歌うの聞いてるよ…!」
「えー?」
玲可ちゃんが渋っていると、曲のイントロが始まった。
「玲可の番だよっ、早くマイク持ってっ」
まりなちゃんにマイクを渡された玲可ちゃんが、そのまま歌い始める。
「……柚、歌わないの?」
隣で百叶が私の顔を覗き込んだ。
「…う、うん、私、こういうのは、みんなの聞いてる方がいいかなって…」
「………そっか。じゃあ私入れちゃうね」
「うん」
私は手にしていたデンモクを百叶に渡した。
………そうだよ、私は、こういう場では、みんなが歌うのを楽しみながら聞くのが合ってる。
こういうのが、私には1番合ってるんだ。


