「…何してんのおまえ」
「………」
振り向くとそこには腕組みをした先生……ではなく、上下黒のスウェット姿の成瀬くんだった。
「……な、成瀬くんこそ、どうして…」
「…人の気配して寝れねーから出てきた」
「……」
がしがしと自分の髪を触ると、そのまま私の横に立った。
窓台に両手をつき、外の様子を見る成瀬くん。
「反射で何も見えねー」
隣に立つ成瀬くんをそっと見上げる。
大きめのダボっとしたスウェット姿に、乾かしたままの髪。
いつも見る制服姿じゃない、見慣れない姿に、私は何だかドギマギしてしまう。
「……おまえ、何かいつもと違くね」
「…っ、」
不意に成瀬くんがこちらを見たので、私は慌てて目を逸らした。
「…そ、そうでしょうか……」
「ん、何かいい匂いする」
何も見えない窓の外に必死で目を向ける。
「っ、!」
次の瞬間、窓に映る姿に私は思わず硬直した。
ーーー私を見下ろしていた成瀬くんが、ゆっくりと私の首筋に顔を寄せた。
な、に……………
「っな、何するんですか…っ!」
恥ずかしさで顔が熱を持つのがわかった。
気づいた時には、自分の首筋を押さえてそう言っていた。
成瀬くんの息がかかった部分までも、熱を持ったようにドクドクと脈を打っている気がした。
「おまえ、声でけーよ」
「っあ、ご、ごめ…」
ーーーバタン
「っ!」
慌てて口を押さえたけれど、廊下の奥でドアが閉まる音がした。
そして、すぐに足音が聞こえた。
「おい、誰か外出てるのか?」
「…やべ」
成瀬くんは声のした方を振り返ってぼそりとこぼした。
今度こそ先生だ……ど、どうしよう………!


