次の時間移動教室あるから、というまりなちゃんに合わせて、少し早めに解散した。
教室に戻ると、あちこちから楽しげな声が聞こえてくる。
……やっぱりいない。
席にその姿はないし、男子のグループに混ざって話している姿もない。
………あ、もしかして……
階段を駆け上がって、1年生の教室がある3階に着く。
昼休み中で賑やかな廊下を、私は少し小さくなりながら奥へ進む。
そして突き当たりの資料室ーーーいや、物置の前に到着した。
そっとドアを開ける。
ゆっくりと奥へ進むと…………
「……いた…」
この前と同じ場所で同じように、気持ちよさそうに眠っている姿があった。
……今度は転ばないようにしないと……
私は足元をよく確認しながら、起こさないようにそっと近づく。
本当は深い茶色の髪も、ここだと黒髪に見える。
長いまつ毛。
きれいな寝顔……
「…何」
「っ!!」
突然目が開き、私は思わず後ずさり転びそうになる。
…お、起きてた……!?
その目が私を捉えると、ゆっくりと体を起こした。
「寝込み襲おうってか、ずいぶん大胆なことすんだなおまえ」
ニヤリと唇の端を持ち上げた成瀬くんは、大きく伸びをした。
「そっ、そんなことしてません…!」
びっくりした……びっくりした…
……い、いつから気づいてたんだろう………
「…で、何でここにいんの」
「え……」
私を真っ直ぐ見上げた成瀬くん。私は答えに困った。
…昼休み、教室には成瀬くんの姿が今日もなくて、もしかしたらと思ったら、気づいたらここに来ていた………なんて、成瀬くんに言えるわけない……
「…え、っと、」
「……」
「……その…」
答えに迷っていると、大きなため息が聞こえた。
「…別にいい」
そう言うと、成瀬くんはポケットからスマホを取り出した。


