やがてパンケーキとコーヒーが運ばれてきて、私は目を輝かせた。
こんなおしゃれなパンケーキ、食べるの初めて…!
「いただきます…!」
わくわくしながら手を合わせ、パンケーキにナイフを入れる。
わ………!
想像以上のふわふわで心が躍る。
そして一口食べると、ほのかに香るバターに、はちみつの甘さがすごく合う……!
こんなに美味しいパンケーキ初めて……!!
「…おまえ、甘いもん好きなの?」
次々と頬張る私に、コーヒーを飲んでいた向かいの成瀬くんは少し驚いたように私を見ていた。
「はい…!あ、成瀬くん一口どうですか?美味しいですよ…」
言いながらパンケーキを切り分けていたけれど、今自分が発した言葉を徐々に理解した途端、手の動きが止まった。
……私、今、とんでもない発言をした………よね、だって、自分の使ってるナイフとフォーク…それに、最初の一口ならまだしも食べかけだし……………
「ごっごめんなさい…!」
慌てて謝罪するも、目の前の成瀬くんは目を丸くしたまま固まっていた。
私、何てこと…………
「いらねー、甘いもん無理」
次の瞬間には成瀬くんはふいと目を逸らして、コーヒーを飲み干していた。
「な、成瀬くん、コーヒー…お砂糖もミルクも入れなかったんですか…?」
「入れるわけねーだろ」
店員さんが持ってきてくれていた角砂糖も、ミルクピッチャーに入っているミルクも全く減っていない。
私……コーヒーをブラックで飲めたことがない…苦いの苦手なんだよなぁ…
私には飲めないブラックコーヒーを涼しい顔で飲んだ成瀬くんを尊敬していると、
「さっさと食えよ」
そう言い放った成瀬くんは、すっかり暗くなった窓の外に目を向けた。
私は慌てて、残りのパンケーキを味わった。


