成瀬くんのあとを追って駅に入ると、改札前のベンチにその姿があった。
その隣に少し間を空けて座り、行きたいところを考える。
……行きたいところ…………無難にカラオケ………は、高校生には普通なのかもしれないけど…私には難易度が高すぎる………買い物も…ハードル高いし……そもそも何を買うって話が始まりそうだし…………
「……あ、あの、成瀬くん」
「ん」
「…成瀬くんの行きたいところで…」
「却下」
「えぇ…っ」
即刻却下されてしまい、思わず成瀬くんを見た。気怠そうな成瀬くんは、私を見てさらに続けた。
「俺はおまえが行きたいところ聞いてんの」
「…で、でもそんな…」
「俺に言えないようじゃ、友達に自分の行きたいとこ一生言えねーな」
表情ひとつ変えず言いきった成瀬くんは、腕を組むとそのまま向こうを向いてしまった。
……そ、んなこと、言われたって………
…けれどきっと成瀬くんは、変わりたいと言った私の手助けをしようとしてくれてるんだ…
それを無下にするなんて、成瀬くんに失礼だよね…
私はポケットからスマホを取り出し、行き先候補を探し始めた。
……けど、こういう時、何をどう探したらいいの………?
……っあ!そうだカフェ…前に成瀬くんとジェラート屋さんに行ったから、カフェならまだ私にもそこまでハードル高くないかも………!
そして何とか、調べたお店のホームページを成瀬くんに見せる。
「…な、成瀬くん……ここ、どうでしょうか…」
差し出したスマホを受け取った成瀬くんは、何やら画面をスクロールしている。
「…クソ遠い」
「っえ…」
返されたスマホの画面に映っていたのは、このお店の住所。
…………隣町だ………
うわあよりによって何で私………そうだよちゃんと住所まで見ないと…
「さっさと行くぞ」
「…えっ…」
立ち上がった成瀬くんはそのまま改札へと向かって行ったので、私は慌ててそのあとを追った。


