直球すぎです、成瀬くん




「私、柚の席」

言いながら、未だに動かない成瀬くんに百叶も気づいて視線を向けた。


すると2人の視線を感じたのか、成瀬くんはゆっくりと体を起こすと、気怠そうな表情のまま私を見た。


「んだよ、さっさと移動しろよ」

「そ、それは成瀬くんだって…」

「俺はもう終わってる」

「え…?」


どういう意味かわからず首を傾げると、成瀬くんは持っていたくじの紙を私たちに見せた。

そこに書いてある番号と黒板を見比べるとーーー成瀬くん、今回も同じ席………


「さっさと動け、邪魔だ」

「な…っ」


いつもと変わらぬ口調にほっとしたような少しむかっとしたような、よくわからない気持ちを抱えながら、私もまとめた荷物を持って移動しようと席を離れた瞬間、


「ちょっと成瀬くん、その言い方は…」

「っえー成瀬また同じ席じゃん!」

「しかも西内さん隣って!」

「ズリィーー」


一通り席移動を終えて、誰がどこになったのか確認していた男子の1人が声を上げると、教室中の視線が一気にそこに集まった。それに乗っかるように、複数の男子が口々に盛り上がり始める。

それに対して成瀬くんは全く反応を見せずに、また机に突っ伏してしまった。



「…アイツ、普段から喋んねえけど無視することなくね?」

「なー、西内さん隣があいつでかわいそ」

「ちょっ、本人に聞こえるって」


全て丸聞こえな会話に、百叶はどうしたらいいのかわからずに立ちすくんでいた。






朝から色々あったものの、その後は何事もなく昼休みを迎えた。

みんなの席から集まりやすいからと、私の席に集まっていつものようにお弁当を食べていたら、ポケットの中のスマホが震えた。

取り出して確認すると、LINEの通知が1件ーーー成瀬くんからだ……



【放課後行きたいとこ考えとけよ】



………え?…私、何か約束してたっけ…………?



冬休みに入る前の会話を何とか思い出してみたけれど、放課後にどこか行く約束なんてした記憶がない…………