だけど移植が終わって1日…たったとき。

明らかに心電図が普通の動きとは違う動きをする。


普通ならきれいな波のような状態で表示されるのに、
小さくギザギザで不安定な形をして動いている。

このままだと危ないから
PHSで急いで応援の医者と看護師を呼び、脈を取る。

今にも止まりそうくらいの弱い 脈の波を微かに感じる。



「原田先生、患者の心音は 」


「弱くなり続けてます 」


「わかった 俺心臓専門だから
そっちは任せて
原田先生の方は、すぐ原因を調べて 」


「はいっ 」


慌ただしく処置をされる結愛の様子を見て
俺は、横で血液を取った。


「看護師さん、これ大至急検査回しておいて 」


看護師に血液を渡してから、俺は応急処置に加わった。

応急処置が終わったときには検査結果が出て
移植片対宿主病による臓器障害が起こっていることがわかった。


「急いで免疫抑制剤の注射をお願いします 」


「はい 」


点滴で免疫抑制剤は入っていたけどそれよりも速効性がありより強力なものを投与しないと。


「ごめん…結愛 」


医療行為なのに結愛の腕に、注射や点滴を刺す度に、

胸がチクチク痛む
まるでその針を自分の胸に刺しているのかと思うほどだ。

それでも、結愛の命がかかっているから、
点滴で青あざになっているところにも針を刺す


そして、処置から15分ほどたったとき
結愛の心臓はやっと正常な動きに戻る。