「まどか。気持ちが 変わることを 心配しているでしょう?」

祥太の言葉に 私は 驚いて 顔を上げる。

「それってさ。言葉とか 約束とかじゃ 縛れないだろ?絶対とか 言い切れないし。でもさ。今は まどかと一緒にいたい。ずっと。2人で 家庭を作って。年取りたいって 思っている。それじゃ 駄目かな?」

「祥太……」

「結婚して 一緒に 生活したら 色々な問題も 出て来ると思うけど。その度に 2人で話し合って 解決しようよ。」

「私… 祥太のこと 大好きだし。離れたくないけど。もし いつか 心がわりしたらって思うと 怖いの。祥太を 傷付けてしまう。」

「俺が まどかに声を掛けたとき まどか すごく辛そうに見えた。だから まどか 俺に 付いて来たんだと思う。半年前に 俺が 声を掛けても まどかは 何も感じなかったよ。きっと。」

「……」

「まどかは 心がわりした自分を 責めてるけど。まどかだけの 責任じゃないんだよ。まどかに 隙を与えた 元彼にも 責任があるんだよ。」

「私が 弱いから。寂しさに 耐えられなくて…」

「でもさ。誰でもいいわけじゃ ないでしょ?俺だから まどか 付いて来てくれたんでしょ?」

「安心して。俺 まどかに 隙を与えないくらい 毎日 忙しくするから。」

「んっ?」


それまでの 熱い言葉から 祥太の口調は 変わって。

クククッと 含み笑いをして 祥太は言う。


「仕事と 家事と 子育てと。まどか 寂しいとか 思う暇 ないから。」

「えーっ。祥太 家事は しなくていいって 言ったくせに。」


私は 祥太の 温かい心が 嬉しくて。

目じりから 一筋 涙が 流れた。


「まどか。返事は?」

「祥太。これからも よろしく お願いします。」

祥太の笑顔は 温かく 輝いていた。