光司とは 先輩、後輩の枠を 越えられなかったけど。


校内で 光司に バッタリ会うと

” オッスッ! ” と笑顔で 手を上げてくれる。

” まどかちゃん こっち ” と 

飲み会の時 近くの席に 呼んでくれる。


小さなことが 私は 嬉しかった。


だから 光司に彼女がいても 

私の気持ちは 変わらなかった。


美香は  ” The 片思い ” と 笑ったけど。


曖昧な フワフワした感じが 心地良くて。


「ねぇ 美香。今 階段で 前田先輩に会って  ” あれっ?髪切った? ” って言われちゃった!」

教室に 駆け込んで 美香に報告する私。

「まどか~。いつまで 中学生みたいなこと 言ってるの?」

美香は 呆れ顔で 苦笑する。

「いいの。私 前田先輩と 話せるだけで 嬉しいから。」


成就さえ 望まなければ

一方通行の恋は 自分本位。


続けることも 止めることも 自分で決められる。

自分が 納得できれば 誰も 傷付けずに。


時々 笑顔のご褒美を もらって。


だから 片思いでも 私は まあまあ 幸せだった。