その夜 私は 美香に電話した。

光司と 別れたことを 告げると 


『ウッソー!あんなに 仲良かったのに。どうして?』

と美香は 驚いた声で 言った。

『私 他に 好きな人が できたの。』

『えーっ?意外。まどかが 心がわりしたの?』


私は 美香の言葉に クスッと笑って言う。 


『美香のせいでも あるんだからねー。』

『ちょっと 私 関係ないわよ?』

『美香に言われて 考えちゃったのよねぇ。私 光司に 全然 ドキドキしなかったから。』

『それで?今度の彼には ドキドキするの?』

『うん。目が合うと 胸がキュンとする。』


『まどかは 絶対 前田先輩以外の人 好きにならないと 思ってたのに。』

『私も そう思ってたから。結構 辛いよ。』

『何言ってるの。自分から 別れるって 決めたんでしょう。』

『そうなんだけど…別に 光司を 嫌いになったわけじゃないから。』

私は 母に言った言葉を 繰り返す。


『でもさ 別の人を 好きになった時点で 前田先輩に 満足してなかったってことじゃない?』

『お互いに 就職してからは すれ違いが 多かったから。』

『仕方ないよ。環境が変わるって そういうことだし。それを 埋められなかった 前田先輩も 責任があるんだよ。』

『なんか 大人になるって 悲しいね。』

私の言葉に 美香は少し 笑って

『そのうち 新しい彼を 紹介してね。』

と明るく言った。