数分後 中井さんは お客さんと一緒に 個室を出て来た。

「大変 申し訳ございません。では 後ほど お伺いいたします。」

中井さんは お客さんを 送り出し。

私は 隣に座る先輩と 顔を見合わせた。


『大丈夫。心配しないで。』

一瞬 私を見る 中井さんの目から

私は そんなメッセージを 読み取る。


「すみませんでした。」

先輩が 中井さんに そう言うと

中井さんは 小さく手を振る。


お客さんの 対応に追われて 何も 聞けないまま。


中井さんに 助けられたことが 嬉しくて。


そして 私は ふと思ってしまう。


もし 光司だったら どうしただろう…


それは いけない比較なのに。