「私も 軽い女じゃありません。あっ。でも…」

中井さんの言葉に ドキドキして。

言いかけた 自分の言葉に 私は 戸惑う。

「んっ?」

「彼がいるのに…男の人と 2人で食事してるから…」

私は 言い淀んで 口ごもる。


中井さんは すごく優しい目で 私を見つめた。

私も 中井さんから 目が逸らせずに 見つめ返す。


「焼けたよ。……アチッ。」

ヘラを口に入れて 大げさに笑った後で

中井さんは もう一度 私を見て言う。


「軽い気持ちじゃなくって 俺と食事してるって 思いたいなぁ。」


どうしよう 私… 頷いてしまいたい。

それこそ 軽い女になってしまう。


彼がいるのに 軽い気持ちじゃないなんて。


「食べなよ。ほら。」

固まってしまって 言葉が出ない私。

中井さんに 促されて もんじゃを口に運ぶ。


「俺さぁ。藤本さんに 彼がいること 知ってて 誘っているけど。いい加減な 気持ちじゃないよ。同じでしょ?いいよ。ゆっくり 考えて。」


私は 今度こそ 頷いてしまう。