食事の間 ずっと 私の胸は 高鳴っていた。

中井さんの言葉 目線 笑い方。

全部が 私の心を 揺さぶる。


今まで 中井さんを 意識したことは なかったのに。

逆に 何故 意識しなかったのかと 思うほど。


「藤本さん 家はどこ?」

食事が終わって 店を出て

中井さんは 私に聞く。

「平井です。」

「じゃ 途中まで 一緒だね。俺 錦糸町で 乗り換えだから。」

並んで 歩きながら 中井さんは言う。


送ってくれないのか…

デートじゃないんだから

当たり前けど。


本当は もう少し 一緒にいたいから。


「1人で帰れる?」

私の心を 読み取るように 中井さんが 聞く。

「はい。まだ 早いから。大丈夫です。」

私が 答えると 中井さんは 笑顔で 頷いた。


私は 大人として 扱われている。


送ってもらえない 寂しさよりも

尊重されている 満足を感じた私。


もう 中井さんを 好きになっていた。