中井さんは 私より 3年先輩で。

背が高くて イケメンだけど

不愛想だから 女子社員には 人気がない。


支店には 若い男性の行員も 何人かいて。

配属になった ばかりの頃は

馴れ馴れしく 近付いてくる人もいた。


私は 女性の先輩に 彼がいることを 話していたし。


男性行員にも 媚びなかったから

そのうち 誰も 思わせぶりな態度を しなくなった。


その頃も 中井さんは 一度も私に 話し掛けなかったし。

私も 中井さんのことを 意識してなかったのに。


『美香が 変なこと 言ったせいだ…』

私は 自分の心の動きが 信じられなかった。


その夜 光司に電話したけれど。

『ごめん。今 飲み会だから。明日 電話する』

電話に出なかった光司から

そうラインがきて 私は がっかりする。


中井さんに 感じた気持ちに

光司と話して 蓋をしたかったのに。


今度の週末は 絶対 光司に会おう。

しばらく 光司に 会ってないことが

中井さんに ドキドキした原因だと 私は思った。