光司は 少しずつ 仕事に慣れて。

私も 会えない生活に 慣れていく。


できるだけ 電話で 話すようにして。

会えなくても 心が繋がっていることを 感じて。


でも たまに会うと 

私は 会うことの重みを 感じてしまう。


一緒にいる時間は 短くても 安心する。

目を合わせることの 大切さ。

触れ合うことの 重要さ。


「私 光司の部屋で 暮らそうかな。」

私は 光司との同棲を 真剣に 考えていた。

「同棲するってこと?」

「うん。そうすれば 光司と 一緒にいられるし。光司のことも 少しは 助けられるよ。」

「そりゃ 俺は ありがたいけど。まどかだって もうすぐ 就職だよ。そしたら 大変になるから。」


まだ 学生だった私は そこまで 思いつかなかった。

「そうかな…」

「うん。就職してすぐって 緊張するし。すごく疲れるから。慣れるまでは 自宅にいた方が 楽だよ。」

光司に言われると 私は 納得してしまう。


今だって 家のことは ほとんど していない私。

就職して 光司と2人分の家事が できるとは思えない。


「俺 もう少し 給料増えたら 引越しするから。それから 一緒に暮らそうよ。」

「そうだね。その頃には 私も 少しは 仕事に慣れているかな。」


ちゃんと 先のことを 考えてくれる光司に 感謝して。

でも 私は 今 もっと 光司と一緒にいたかった。