「ダメですよ南央さん。ここは怒るところです。仕方ないって許しちゃダメなんです」
「そうなの?」
「そうです。ほら、南央さんも頬を膨らませてみて下さい。ちょっと眉間にしわ寄せて」
こうです。と見本を見せてくれる文ちゃん。
それを見ながら見様見真似でやってみる。
「こう?」
頬を膨らませる。
「あぁっ!可愛すぎて私が倒れそうでした」
クラっと倒れるような動作をする。
「今のをすれば金木くんも瞬殺です」
殺しちゃダメでしょ…と心の中でツッコミを入れるが、口にはしなかった。
「あ!文!」
聞き覚えがあるような声で文ちゃんが呼ばれる。
「やっと私たちに気がついたみたいですね」
やれやれと言わんばかりに、首を振る。
「さぁ、行きましょう」
私の手を引いて、金木くんたちがいる方へ向かう。