「ほんとに結婚すんの? 美香の妄想じゃなくて?」
「妄想じゃないし。親代わりの人に挨拶したもん。そのまま泊まったもん」
「なにその超展開」
「別の部屋で寝たしキスもしてくれなかったけどさ」
「さすが紳士」
「それがさあ。聞いてよ。オオカミ男だった」
「オオカミ男?」
「第一印象と今じゃ。別人すぎ」
「へえ」
「でも。なんだかんだ。マジメ」
「大事にされてるんだね、美香」
「大事にされたいけど。……されたくない」

 はやく大人になりたいな。
 と、軽く100回は頭の中で唱えた。

「プリ撮ったよ!」

 スマホの画面を若菜に向ける。

「これが。大地くん?」

 ホーム画面に設定したのだ。

「想像してたより若い」
「童顔なんだよね」
「顔ちっさ。モデルか」
「カッコいいでしょ。クールぶってても中身はオラオラしてる。敬語やめたら口悪いしヤンキーみたい。あ、でも姿勢とか立ち振舞いは綺麗なの。訓練あると泥だらけらしいけど」
「ゾッコンだね」
「はやくイチャイチャしたい。めっちゃ焦らしてくる。アメとムチの割合おかしいの、ムチが9くらい!」
「こりゃ美香がハマるわけだ」