オオカミさんはウサギちゃんを愛でたい。


「大地くんと一緒にいられるなら。テントでも洞窟でも楽しめる気がするんだよね」
「わけのわからない虫が出ても?」
「そのときは。……戦う。か、共存する」

 自衛官の妻って、花嫁修業よりもサバイバル生活の知恵とか身につけておくべき?

「おかしなこと考えてそうだな」
「大地くんは?」

 あたしと暮らせる?

「あたしのこと。お嫁さんにする気ある?」
「お前みたいなの貰うと。手がかかって仕方ねえだろうな」
「返事になってない」
「そんくらいの覚悟ねえと。こんなとこ連れて来ねえよ」
「……っ」

 大地くんはあたしと結婚してもいいの?
 カノジョにすらしてくれないのに、そんなこと考えてたの?

「だけど現実的じゃないだろ。どう考えても。お嬢様と自衛官じゃ――」
「する!」

 こんなに幸せな気持ち、夢でも味わったことないよ。

「おい。くっつくな」
「結婚する。今すぐする。夫婦に、なる」
「逃げ出すかと思ったんだが」
「へ?」
「貧乏くさいだとか。狭いとか、文句言って帰るかと」
「た、試したの!?」
「なかなかのチャレンジャーだな。お前」