オオカミさんはウサギちゃんを愛でたい。


 このままじゃ、大地くん風邪ひいちゃう。

「先にお風呂入って!」
「平気だ。ゆっくりぬくもってこい」

 風呂場から出てシャツを脱ぐとタオルでカラダを拭う大地くん。

 ……きんにく!!!

 脱いだらすごい――とは、このこと。

「触っていい?」
「やなこった」

 肉体美。
 
「ちょっとだけ」
「お前。ほんと我慢できないやつだな」

 そっと、大地くんの二の腕に触れる。
 女の子と全然ちがう。

 それにこのお腹。
 これが、いわゆる、シックスパック。

「なんか。すごく。……えっち」
「はよ風呂いけや」

 こんなカラダ初めて見た。ときめく。

「見ての通り。生活感まるで違うだろ」

 …………!

「俺と暮らしたらセレブではいられねえよ」

 大地くんと、暮らす?

「ほんとはどこかで引いてんじゃねーの。庶民っぷりに」

 引いてないし。
 それより暮らすってどういうこと?

「寿司といえば。真っ先に浮かぶのは回る方だ」
「むしろ行ってみたいんたけど」
「最初は物珍しさが勝つかもしれねえが。だんだんつらくなるだろうよ」

 大地くんは、全然あたしのことわかってない。