大地くんが、あたしをここに連れてきてくれた理由なんて、わからない。
「後悔は、していない」
わからないけど、ここに来ることができてよかったと思う。
「防衛大学校でなければ学べなかったことは、たくさんあって。初めて自分で選んだ道は、間違っていなかった。そこが俺の居場所なんだと思えた」
「うん」
「俺がどんな人間か。ちょっとくらい、わかったところで」
……ところで?
「歯磨いて。風呂入って。寝ろ」
「へ?」
「歯ブラシと着替えは用意してやる」
「あたし大地くんと一緒に寝ていいの?」
「俺は居間で寝る」
「えーっ」
「俺はどこでも寝られる。屋根がなくてもな。だけど美香は布団なきゃ眠れないだろ?」
「……大地くんのぬくもりがなくちゃ眠れない」
「じゃあ起きてろ」
「ひどい!」
「ワガママ言うな」
「あたし、思うんだけど。ちゃんと合意があってさ。愛があれば。未成年とか。……関係ないと、思うよ?」


