学びたいこと、なんて。
 あたしだって。……ない。

 なんとなく親に入れられた学校に通いながら、なんとなく毎日が過ぎた。

 退屈で、興味ないこと覚えさせられて。
 受けたくもない試験に合格するために詰め込んだ知識は、試験が終わったら、消えてった。

 たいして頭がよくなくてもストレートに大学まで進学できる予定だ。
 パパが入学金や授業料を払ってくれているから。

 この世界はお金でたいていのものが手に入る。
 あたしは学歴を買ってもらっているようなものだ。

 代わり映えしない日々の楽しみと言えば若菜や男と遊ぶことで。
 けれど男遊びは、だんだん刺激もなくなっていって。
 最新の服も鞄も靴も、欲しいものは、なんでも手に入るのに。
 手に入った途端にガラクタになる。

 なんのためにお洒落してるかも、自分を磨く理由も、わからなくなって。

『美香。可愛いよ』

 誰かと肌を重ねている間は、なにもかも忘れられた。