「あたしのこと見て」
「気の迷いなんじゃないか」
「生憎だけど大地くんに向いてから他の男にまったく反応しなくなった」
「そんなに俺が必要か」
「うん」
「諦める気は」
「ない」
――――道、踏み外してよ。
「あたしのこと好きになって。一生かけて大地くんを愛してあげるから」
大地くんが、片手で自分の顔を覆う。
呆れてる?
それとも……照れてる?
「どうしてそういうこと。恥ずかしげもなく言えるんだ」
「い、いわなきゃ伝わらないじゃん」
どんどん、溢れてくるんだよ。
「強がらなくていい、って言ったの大地くんだし」
「若いって。……こえーな」
「茶化さないで」
あたしだって必死なの。
こんな風に男に感情を爆発させたことなんて、ないんだから。
「言っておくが俺はお前の思い通りには、ならない。理想の王子様やらハイハイと従う下僕を探してるなら、他をあたれ」
王子さまも家来もイラナイ。
「他の男のとこ。いって欲しい?」
顔をしかめた大地くんが、大袈裟にため息をつく。
「聞くな」


