オオカミさんはウサギちゃんを愛でたい。


 想像できないようなキツい訓練受けて、遊びたい気持ち我慢して、まっすぐに生きてきたんだろうな。
 ふらふらしているあたしとは、全然ちがう。
 同じ方向に向かうわけなかったんだ。
 
 大地くんの鋭い目があたしを捉える。

 ああ、今度こそ。
 サヨナラを告げられてしまうね。

「道を。踏み外しかねない」

 ドクン

「お前といると」

 …………ナニ?

 "ミチヲフミハズシカネナイ"

「よく、わかんない」

 それ。どういう意味かな。

「迂闊だった。いいや。ダセェと思われているうちは、すぐに飽きられるだろうと」

 飽きられる?

 飽きてないよ。それどころか。
 どんどん、夢中になってる。

 思い通りにならない大地くんは絶妙なアメとムチをくれる。
 ただ優しいだけでも、冷たいだけでも、こんなにハマってない。

「それが。……懐かれるとは」