若菜が、こんなことを言っていた。


『指一本たりとも触れらたらタブーというか。背徳感あるでしょ』


 高校生の――"壁"。


「じゃあ。……オトナになるまで待てばいい?」

 今は、近づけなくても。
 いつかに期待してもいい?

 大地くんは、待っていてくれる?

「メールは、あまり得意ではないんです」

 いい子にしてて、とは言ってくれない?

「わかった。これからは、控える」

 送りすぎてる自覚ならある。
 無理なお願いもしない。
 返事が来なくても怒らない。だから。

「……繋がっててもいい?」

 お願い。あたしのこと、拒絶しないで。

「一般の方に理解を深めてもらうためにも、できる限りの協力はしましょう」

 …………?

「美香さんが自衛官に興味をお持ちになったというなら。なにか知りたいことがあるならば、自分から言える範囲のことであれば話しましょう」

 あたしが自衛官に興味あるかって?

 あるに決まってるでしょ。
 でも、それは、大地くんが特別だから。
 大地くんを知りたくて自衛隊のことも少しずつ勉強してるの。
 わかってよ。

 欲しいのは、事務的な言葉じゃない。
 あなた自身の言葉。

「ただし。度の過ぎた遊びには、付き合いきれません」