水族館を出て、海岸沿いにある公園にやってくる。

 なにを話せばいいか、わからない。
 大地くんの本音が知りたいのに聞くのが怖い。

「寒くないですか」

 ……え?

「へ、平気」
「じきに冷えてきます。その前に帰った方がいい」

 これでお別れ?
 そんなの、イヤだよ。

 きっと、二度目は、ない。
 もうワガママきいてくれない。

「だいじょーぶ。制服の方が、もっと寒いし」
「あんなに短いスカート履いていたら。寒いでしょうね」

 "あんなに短いスカート"

「あたしが送った写真。見てくれたの?」
「ああいうの。誰にでも送らない方が、いいです」

 見てくれたんだ。そっか。

「誰にでも送ってないよ。大地くんにしか。送ってない」

 あたしの制服姿を見て欲しいなって思ったの、大地くんだけだよ。
 等身大の自分をさらしたのは初めてだよ。

 いつも、背伸びしてきた。
 それがカッコいいと思ってきた。

「自分にも送らないで下さい」
「どうして? もう消した?」
「なにを求めてますか」

 あたしが、大地くんに求めてるもの?

「どういう答えを出せば。満足しますか」