「どこでもいいの?」
「そうですね。あまり遠くでなければ」
「だったら二人きりになりたい」
きょとん、とされてしまった。
いやいやいや。
デートってそういうものじゃん。
映画もディナーも夜景も、ドライブも。
所詮はホテルまでの通過点。
大地くんだって、どこかでそういう期待してきたんじゃないの?
でなきゃ休みの日に重い腰をあげて付き合わないよね。
すました顔してても。
あたしが高校生でも。
最後に男と女がいきつくのは、そこでしょ。
「二人きりに?」
聞き返されても困る。
あたしが、きっかけ作ったんだ。ここからは男がリードするもんでしょ。
それとも、少しも下心ないの?
そこまであたし、魅力ない?
「迷惑なら迷惑って言って、いいよ。もう。連絡しない……から」
返事は、ない。
ほんとは、迷惑なんて思わないで欲しい。
連絡していいよって言われたい。
だけど素直になれない。
少し間があいたあと、大地くんが口を開いた。
「外。歩きませんか」


