「気に入りませんか」
「これに、する」

 大地くんが見つけてくれたペンだから、買う。よく見るとめちゃくちゃ愛らしい顔してるじゃんコイツ。

「大地くんも。……買ったら?」

 ボールペンなら持ってても邪魔にならないでしょ。
 でもこれだと普段使いできそうにないな。デザイン的に男の人にはキツい?

 お揃いで、持ちたいの。

「じゃあ自分は。こっちで」

 チンアナゴのキーカバー。
 4匹描いてあるそれは小さいながらにインパクト大。きもかわいい。
 190もあろう男がそんなの鍵にかぶせるとか。無理。

「まって。ウケるんだけど」

 思わず笑ってしまう。お腹の底から。
 ダメだ、涙でそう。ツボ。

「そういう顔も。するんですね」
「え? なに?」

 手に持っていたペンをさらっと奪われたと思ったら、レジまで持っていかれた。
 いやいやいや。
 この行動は予想外っていうか。

「どうぞ」

 戻ってきた大地くんから、お土産袋に包まれたものを渡される。
 細長い。
 まあ、うん、さっきのペンなのだろうけど。

「次。行きたいとこありますか」

 買ってくれた。チンアナゴ。