「これボールペンみたいですね」

 え、そうなんだ。とてもペンには見えなかった。
 受け取って、感触を確かめる。
 柔らかそうにみえて、意外にかたい。中にプラスチックのペンが入っていて芯が通っているためだろう。

 って、ちょっと待ってよ。
 チンアナゴのとなりのコーナーに、キラキラして可愛いペンギンのペンあるじゃん。まさに、あたしっぽいじゃん。
 あれをスルーして、あえてこっち選ぶってどうなの。それもガキっぽいやつ。

「熱心に見てたから。好きなのかと」

 ああ、あれは、変わった名前だったからその由来を読んでいただけで。
 それ以上にチンアナゴに対して思い入れなんて。べつにないから。
 イルカショーの方がドキドキしたし。

「チン、っていう犬からつけられたんだって。名前」
「それは知りませんでした」
「あたしも」

 ……って、あれ。
 大地くん。

 あたしのこと見てなさそうで見てる?