「震え。止まったな」
…………!
「これだからお嬢様は。ボロ屋ですまんね」
「……っ」
あたしが怖がっているのに気づいて、それでハグさせてくれたの?
いつもなら拒絶するのに。安心させてくれたんだ。
まだ、強風は、やんでいない。
それでも大地くんが近くにいてくれると、あたしはこんなに穏やかになれる。
「美香さん。そろそろ離れてくれませんかね」
「……やっぱり?」
どさくさに紛れて大地くんの腕の中を堪能していたが、甘くはないか。
「手出ししないって宣言してる手前。こっちから抱きしめ返すわけにもいかねーんだわ」
宣言してなかったら? 襲いたい?
「すきにして、いいよ」
「しません」
「パパも大地くんのこと認めてくれてるっぽいし」
「……マジか」
「恋人に、なろうよ。ね?」
こんなに近いのにキスもしないなんて、逆にどうかしてる。
「大地くん」
「雷に怖がってるかと思えば。いきなり盛ってんじゃねえよ」


