オオカミさんはウサギちゃんを愛でたい。


「大地くんは海月さんのこと、親代わりって言ってました」
「そうだね。私も不思議と息子のように思ってる。『お腹を痛めて産んだ我が子は可愛い』って言葉あるでしょ。あれ、間違ってはないと思う。十月十日どんなときも一緒にいて、一歩間違えたら互いの命が危ないって状況をくぐり抜けて、親子になった母と子の絆は。そりゃあ強いよね」

 海月さんが、エプロンを外す。

「でもさ。たとえ産んだのが自分じゃなくても、赤ん坊の頃から世話してきたんだ。可愛くないわけがない。押し付けがましくなりたくないけど、なにより大地に人生捧げてきたって思えるくらいの瞬間もあった。愛しいよね。血は繋がってないけどアイツは間違いなく私の家族なんだ。まあ年齢的には年の離れた弟か」
「大地くんは身寄りがなくてここに引き取られたと、聞きました」
「そうだよ。私の父の、大学時代の友人の息子。それが大地」