オオカミさんはウサギちゃんを愛でたい。


 通りすがりのカップルにあたしのスマホを渡して、三人の写真を撮影してもらった。

「ありがとうございました!」
「いえ」

 去っていく二人は初々しいというよりは付き合いの長そうな恋人たちって感じ。
 いいなあ。

「ねえ、あの三人組。モデルとかかな」
「スペック高すぎ」
「美男美女」

 さっきから、周りがこっちを見てなにか言っているような。
 大地くんは大きいから目立つもんなあ。
 モトナリは美少年だし。
 あたしは、まあ、かわいーし?

 そういや大地くん、あたしの外見褒めてくれたことあったっけ。
 ないんじゃない……?

 結婚してもいいって想ってもらえているくらいだ、それなりに理由があるのだろうけれど、どこが好きだとか魅力を感じるなんて具体的に言ってくれたことないかも。

 手がかかる、放っておけないってのは聞いてきた。

「てか。女の足。きれーだよな」

 大地くんの気持ち、もっと知りたいよ。
 堂々と恋人ですって言いたいよ。
 この人があたしの旦那様なんですって紹介できる日が待ち遠しい。

「……ん?」

 なぜか、急にあたしの前に立つ大地くん。となりにいたのに。

「なにしてるの」
「今日。ちっせーな」
「ちいさい?……ああ、ヒールじゃないからね」

 背比べ?
 あたしがチビなことくらい知ってるでしょ。