オオカミさんはウサギちゃんを愛でたい。


 差し出されて受け取ったのは、パーク限定のカチューシャだ。

 アニマルがモチーフで、一つは猫。
 もうひとつはウサギ。

「かわいい!……買ってきてくれたの?」
「それつけてまわるぞ」
「二つしかないよ」
「俺は帽子かぶってるからパス」

 逃げたな?
 あたしと大地くんのペアがよかった!

 なんて駄々をこねれば『仲良くできないなら解散だ』とか言われかねないな。

「こんなのつけませんから」
「つけるよ!」

 ムスッとした可愛げのないモトナリに猫耳のカチューシャをかぶせる。

「や、やめ……」
「似合うじゃん!」

 黙っていれば、かわいい顔してるだけある。

「屈辱だ」
「そんなことないよ? このまま雑誌のスナップにでも――いや、表紙にだってなりそう」
「……ありえない」

 文句を言いながらも外さないモトナリ。
 少しは空気を読めるようになったのか?

「ねえ。似合う?」

 大地くんを見上げると、なんだか穏やかに微笑んでいる。

「写真撮ってやるよ」

 モトナリとあたしに向かってカメラのレンズを向けてくる。

「えーっ、大地くんと……」
「俺と?」
「コホン。さ、三人で撮りたい!」

 二人がいい!
 って言ったら解散されちゃう。