そんなの、モトナリが、元からこういう子だから。

 昔から愛想ないの。

 うちに来たばかりの頃、あたしから話しかけてもムスッとしてさ。
 年下なのに妙に落ち着いていて、習い事させたらそつなくこなして、あたしよりずっと勉強だってできたから、パパに可愛がられて。
 バカなあたしのことなんて嫌ってると思ってきた。

 なのに迎えに来る意味もわかんないし、大地くんのこと侮辱されてまで黙っていられないよ。

「仲良くできないなら。撤収する」

 そ、そんなあ。

「ここにいろ」

 大地くんが、どこかに行ってしまう。
 ねえ。置いてかないでよ。

「モトナリのせいで大地くんに怒られた」
「美香さんもガキって言われていたじゃないか。僕だけのせいじゃない」
「原因は、あんたでしょ! なんでモトナリは、あたしに帰ってきて欲しいの? まさかパパに連れ戻すように言われた?」
「え……いや。父さんは関係ない。僕の独断です」

 そうだよね。パパが今更あたしを気にかけたりしないだろう。

「年が明けたら帰るから。それまで好きにさせて」
「そうなんですか」
「そうなんですか……って。さすがに大地くんの家から高校には通えないもん」