「嫌です。僕は、兄上といつまでも一緒にいます。兄上と再会した時から、そう誓いました」

建物に火が着きます。それは、すぐに広がっていきました。

「……そうか。なら、一緒に来てくれるか?」

兄上は脇差を抜きます。僕も「当たり前ですよ。死ぬ時も一緒です」と脇差を抜きました。

そして僕と兄上は、涙を流しながら微笑んで自分の体に脇差を突き刺しました。



「……おーい。良輝?」

「どうしたの?義明(よしあき)」

僕は、双子の兄である義明に話しかけます。

「いや、話しかけても返事が無かったから……心配になってな」

カバンを持ち直し、義明は恥ずかしそうに言いました。

「大丈夫だよ。ちょっと考え事してただけだから」

そう誤魔化して、僕は笑います。さっきまで前世のことを思い出してて……、なんて言えませんし。

僕には、前世の記憶があります。鮮明に。そして、分かるんです。義明が、兄上の生まれ変わりだってこと。

「そっか!」

そう言って、義明は笑いました。今、すごい幸せです。

僕には、1つの願いがあります。それは……。

義明の隣で、ずっと笑っていたい。