受話器に愛をささやいて

 ドキンドキンとうるさく、太鼓のように鳴り響いている。

 顔の中心から熱が生まれ、耳の先っぽまで熱くなる。

 私は恥ずかしさに俯き、小さく頷いた。

 低いヒールの靴がパシャっと水たまりを跳ねるが、全く不快さを感じない。

「あ、そう言えば俺、いっこだけ栞里ちゃんに謝らないと」

「……なに?」

「お宅の家にお邪魔した時。実は栞里ちゃんの部屋、勝手に開けたんだ」

「………へ」

「ごめんね、嘘ついて」

 ごめんねと言いながら悪びれる様子もなく、彼は得意げに笑うのだった。


  ***END***


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