君に毒針



「神楽、」

「なんですか」

「ファーストキスの相手とは結ばれないらしーよ」

「………聞いたことありません」

「俺がそう言ってる」

「リュウ先輩、意味分かんない」

「うん、俺もわかんない」





雨の音が、いつもより心地よかった。

わたしと先輩は、普通じゃなくて、チグハグで、不器用だから、こういう終わり方があっているのかもしれないって。

別にわたしと先輩って何も始まっていないのに、なんとなく、そう思っていた。