「ただいま……」
家に入ると、母は驚いたようにわたしの体を凝視した。
「ちょっ、なぁにその格好。濡れてるじゃない。どうしたのよ」
「ちょっとジュース零しちゃった」
先生に借りたタオルで髪の毛は拭くことができたけれど、Yシャツには無残なシミが出来ている。
「どうしてそんなところにこぼすのよ。こないだは吐いて汚して今度はジュース!?あー、もう。みっともない。そんな恰好で帰ってきたの?ご近所さんに見られたら恥ずかしいでしょ?」
「……ごめんなさい」
母は昔からこういう人間だ。娘に何かあったのかもしれないという気持ちよりも先にご近所さんや周りの人間からどう見られているのかを気にする。
きっと自分に自信がないからそうなるのだ。父に一言も言い返すことができずに黙って言うことを聞いている母らしいといえば、母らしいけれど。
そのときふと、母と志穂……それに真紀の姿が重なった。
うちの父やカスミちゃんのような人間の犬と化しているような情けない人たち。
家の中や学校でだけ大きな顔をして権力を握り、それに甘んじている惨めな人たち。
家に入ると、母は驚いたようにわたしの体を凝視した。
「ちょっ、なぁにその格好。濡れてるじゃない。どうしたのよ」
「ちょっとジュース零しちゃった」
先生に借りたタオルで髪の毛は拭くことができたけれど、Yシャツには無残なシミが出来ている。
「どうしてそんなところにこぼすのよ。こないだは吐いて汚して今度はジュース!?あー、もう。みっともない。そんな恰好で帰ってきたの?ご近所さんに見られたら恥ずかしいでしょ?」
「……ごめんなさい」
母は昔からこういう人間だ。娘に何かあったのかもしれないという気持ちよりも先にご近所さんや周りの人間からどう見られているのかを気にする。
きっと自分に自信がないからそうなるのだ。父に一言も言い返すことができずに黙って言うことを聞いている母らしいといえば、母らしいけれど。
そのときふと、母と志穂……それに真紀の姿が重なった。
うちの父やカスミちゃんのような人間の犬と化しているような情けない人たち。
家の中や学校でだけ大きな顔をして権力を握り、それに甘んじている惨めな人たち。



