イジメ返し―新たな復讐―

温かい先生の手のひらのぬくもりに確かにわたしは今、救われた。

それと同時にこの手で背中をさすってもらうことは最後だという現実を突きつけられ、絶望の淵に叩き落とされる。

「じゃあ、またね」

わたしが車から降りると、先生は笑顔で手を振った。

「先生、ありがとう」

先生の車が遠ざかっていく。はるか遠くまで行ってしまったせいで車のテールランプがもうはっきりとは見えない。

それでもわたしは手を振り続けた。

助けを求めていた。もうすでにわたしの心は限界でSOSを発しなければいけないぐらいに追い詰められていた。

今は運転中だし、我慢しなくてはならない。

先生に夜にでも電話をかけよう。わたしは制服のスカートのポケットに押し込んだ手帳の切れ端をギュッと手のひらで握りしめた。