イジメ返し―新たな復讐―

「あっ」

教室に向かって廊下を歩いていると、前方から歩いてくる人物に気が付いた。

それがカスミちゃんと志穂ちゃんだと知り、わたしは思わずその場に立ち止まった。

二人はわたしの姿に気付くなり、目を見合わせてにやりと嫌な笑みを浮かべる。

二人との距離と比例するようにジリジリと募る焦燥感。わたしの目の前で立ち止まったカスミちゃんは腕を組んでわたしを見下ろした。

「なんか教室のそばのトイレが騒がしかったけど、様子見にいったほうがいいんじゃない?」

「え……?」

「上履きが便器の中に落っこちてたらしいよ~!」

志穂ちゃんが面白そうに言う。

「便器の中に上履き……?」

「他のクラスの子も集まって大騒ぎになってるよ。アンタ、上履きないんでしょ?だから、そんなきったないスリッパ履いてるんじゃないの?」

この時悟った。カスミちゃんは全てを知っていてわたしを追い詰めるようなことをして楽しんでいると悟る。

昔からこの人はそういう人間だ。

「うん……。ちょっと行って……確認してみるね……」

適当な言葉で流して彼女たちから離れようとしたとき、カスミちゃんがスッとわたしの前に足を出した。

それに気付いて踏み出そうとしていた足を止める。