「カスミちゃんの家ってさ色々複雑みたい。そういう家庭のストレスみたいなところもあるんじゃないかな?家庭環境が原因で歪んだ考え方を持ったりしてるけどきちんと話せばカスミちゃんだってきっと――」

「――ちょっ、ちょっと待って。真紀はわたしじゃなくてカスミちゃんの味方をするの?」

わたしは思わず真紀の言葉を遮った。

「カスミちゃんの味方とかそういうんじゃないよ。ただ、あたしは愛奈とカスミちゃんが
うまくやっていけたらいいなって思ってるだけなの」

「わたしとカスミちゃんがうまくやっていく?そんなの無理だよ。わたしはカスミちゃんにイジメられてるんだよ?」

「確かにカスミちゃんは悪いところもある。愛奈のことはあたしもカスミちゃんに言うから。だから、お互い歩み寄って……」

「そんなの無理だよ」

あたしは真紀を突き放した。

「真紀だって見てたでしょ?先生が……カスミちゃんに足をかけられて転ばされたところ。カスミちゃんは妊婦の先生に故意に足をかけて転ばせた。あんなことをするカスミちゃんに歩み寄れるはずがないでしょ?」

まくしたてるように言葉を続けるわたしを真紀は穏やかな表情で見つめた。

そして、わたしに言い聞かせるようにこう言った。