引き返すタイミングはあった。あったはずなのに。

最低だ。どうして……わたしは……――。

最後の最後で気付くなんて。もう、すべてが遅すぎる。

「ま……き……」

意識が遠のく。酸素が脳に回らなくなった。

真紀、ごめん。それと今までありがとう。

真紀……幸せになってね。

体中の力が抜けていくと同時にわたしの目からは一筋の涙が零れた。