「チッ」
放課後真っすぐ家に帰ったあたしは扉を開けた瞬間、玄関に男物の汚いサンダルを目にして自然と舌打ちをしていた。
金城だと瞬時に悟って回れ右した瞬間、「おかえり、カスミ」という声と同時に右腕を引っ張られた。
「離せよ!」
「お前が帰ってくんのを待っててやったんだろぉ?冷たい奴だぁ」
「待っててなんて頼んでないから。つーか、出てけよ!ここはアンタの家じゃない!!」
「お前の母ちゃんはいつでも好きに家に出入りしていいって言ってたぞ?」
「あたしにはそんなの関係ない!!」
「なぁ、カスミ~。久しぶりに……いいだろ?」
金城はあたしの耳にふぅっとタバコと酒の入り混じった臭い息を吹きかけた。
そして、「まぁ、お前に許可取る必要なんかねぇか」と独り言のように呟くとあたしの腕を無理やり引っ張った。
男の金城に女のあたしがいくら抵抗したところで結果は目に見えていた。
抵抗する間もなくあたしは金城の好きにされ、遊ばれた。
その間、あたしはずっと『殺してやる』と心の中で呟いた。
屈辱と、怒りと、軽蔑と、諦めと、やりきれなさに目頭が熱くなった。
でも、泣かなかった。泣いたら金城に負けた気がするから。
あたしは絶対に泣かない。金城は涙の1滴だって垂らす価値もないクソ男だ。



