「カスミちゃん」
名前を呼ばれて顔をあげるとそこにいたのは真紀だった。
「顔色が悪いよ。ちゃんとお昼ご飯食べてる?これ、カスミちゃんにあげる」
あたしの許可もなく隣に座ると、真紀は袋から取り出したパンをあたしに手渡した。
「自分の方が顔色悪いじゃん。つーか、いらない。余計なお世話」
そのパンを手で振り払うと、パンは地面に落ち、砂が付いた。
「カスミちゃんは素直じゃないなぁ。これはあたしが食べるからカスミちゃんはこっちを食べて」
真紀は苦笑いを浮かべながら新しいパンをあたしの膝に乗せた。
「あたしに構うなんてアンタバカ?あたしが今クラスでどういう状況かアンタ分かってんでしょ?」
「うん。分かってる。カスミちゃんはみんなに色々酷いことしたもん。みんなが怒るのも無理ないよ。あたしだってカスミちゃんに怒ってるよ。愛奈にたくさん酷いこともしたもん」
「どうして愛奈がされたことをアンタが怒るのよ」
「愛奈は親友だから。親友を傷付けられたら嫌だよ。カスミちゃんだってそうでしょ?大切な人を傷付けられたら嫌なはずだよ?」
「別に。痛くもかゆくもないし。そもそも傷付けられたくない大切な人なんていないし」
「今はいなくてもこれからできるかもしれないよ。まだ17歳なんだもん。カスミちゃんのこれからの未来はきっと明るいはずだよ」
「アンタって本当にバカでお気楽だよね。のほほんとした人生生きてるとそういう性格になるのかもね」
吐き捨てるように言うあたしに真紀は微笑んだ。



