「生意気なこと言ったアンタが悪いんでしょ?あたしに刃向かったらどうなるか分かったでしょ?あたし、志穂に聞いたの。アンタがイジメ返ししてるって。今度はあたしに仕返しするつもり?だったらやるだけムダだから。そんなことできるはずない」
愛奈があたしを見つめる。その瞳には怒りと憎しみが色濃く映し出されていた。
あぁ、この目……見覚えがある。あたしと一緒だ。あたしもきっとあの男……金城のことをこんな目で見つめているに違いない。
「何その目。ナメてんの?」
あたしは愛奈の右頬を平手打ちした。
愛奈がうつむいている。その頭を今度は引っぱたいてやろうと右手を振り上げた時、
「やめて、カスミちゃん!そんなことしちゃだめ!」
あたしの右手は何かによって押さえつけられた。
「邪魔すんな」
そこにいたのは真紀だった。今にも泣きだしそうな表情で真紀は「お願い。やめて」と懇願した。
「アンタには関係ないでしょ?」
「か、関係あるよ。愛奈を傷付けないで。お願いだから……!」
「ハァ?アンタ、自分が何してるか分かってんの?」
「カスミちゃん、お願い。こんなことしないで。こんなことしていいなんて本当は思ってないでしょ?」
「……うざっ!マジ死ねよ!」
あたしは真紀の手を振り払い、そのまま真紀の顔を平手打ちした。
一瞬、静寂が教室中を包み込んだあと、突然後頭部に何かがぶつかった。
足元に転がる消しゴム。
振り返るとクラスの複数の女子がこちらを見て嫌悪感丸出しの瞳をあたしに向けた。



